秋は深みを

何も見えなくなっていた私に、

かがやけ夕時澄み切った瑠璃色。

喪失を受け容れてきたからこそ、纏わり憑く生の半身。

深く傷付いてしまったけれど、

文句はない。

だが、過去は私を逃さないようだ。

つかみなさい

おもいなさい

あいしなさい

忘れなさいとは決して言わない。

私はただ安らぎを求めて、静かに目を閉じる。

あの人もそうだったことをしるときは、綺麗な空が待っている。

別れを受け容れられたと話すあの色...

迎え討つように聳える槭樹は、秋の孤独な太陽。

私は祈らない。

私はただ見た。

祝福も災厄も、

それがどれほど長く続こうと、

底の底の静寂を枕にして、心地良く目を開いている。

この秋で待っている。