ハル _ 例1 「青葉とお花のコントラスト」
白色に、仄かに赤が滲んだような
お花をもつそれの、黄緑色の若葉とお花達の
コントラストにまずは驚きました。
春です。
春の樹々の春に包まれた私が、春を包みかえしたこの関係は、
恋です。
花の色と同じ色をした、白くて、そして私の胸で湧き立つ血の赤色が、
ほんのり滲みだしたような恋をしたのです。
その春の恋には、その可憐な花びらが舞うこともできました。
花吹雪、
桜並木をすこし離れて見ていると、たしかに山の嶺に雪が積もったような外観に重ねてみることができます(美しい日本語の一つですね)。
私のもとにも花びらがひとつ運ばれてきました。うすい花びらのか弱さ...
なんてかわいらしいのだろう...
季節の花に肖って、
ピンク色の服を身に着けた女性も多く見受けられました。
人工的に染めあげられた服は、どれも春らしさの演出に留まるばかりで、あの花の色彩を表現するものではないのですが、
数世紀以前のこのアジアの春は、きっと今以上の色彩や香りに満ち溢れていたのかもしれないと私に想像させてくれました。
陽光に、この黄色い光に、お粧しされたような
レッドロビンの紅色と、
青葉の気高い緑が風に靡き、
光の融合によって抽象化され得るほどに重なり合う認識は、
未完成が完全の前で游ぎ揺らいでいる様であり、
私が感じることのできるものと、すぐあとで感じるようになるものとの間の揺らぎ(=美)の反映でもありました。
そのあまりの光景は、本当に私を圧倒させましたね...
白色の雲は、"白"そのものです。いずれ爆発してしまいそうな、燦々たる白。なんと眩しいのでしょう。
ある雲は白色から薄紫色へのグラデーションを表していて、
その淡く微妙な色々は、何にも例えることができないような奇蹟的な産物の一つでした。
あるマンションの壁面やガラスですら、この春に栄誉を授けられ、透明感と存在感に耀いています。
鴉の黒さでさえも。黒の自動車の黒さでさえも。
春雨の過ぎ去った、少し冷たい風を受けた私は、
これは世界的な風だと思いました。
私の体の如何なるところも、それに抵抗することがなかったからです。