ハル _ 例2 「躑躅の莟に猶予へば」
詩になる前の女がいて、
オシャレな彼女の装いは、明日の為にあるようだった。
名前を識らない花は、ただ咲く。
名前を識られた花も、ただ咲く。
それに変わりはないとしても、
いや、変わりがないからこそ、
幸せを願うばかりだ。
そう、このハルの某日、幸せを強く願ったんだ。
終りは向こうからくる、
ただ、ただ咲こうと、、
躑躅の莟は開花の兆しを感じさせず、
この春に猶予ふばかり。
暖かい日射しに猶予ふばかり。
私は躑躅の莟に、躑躅の花に猶予ふばかり。
(shinichiは白い躑躅がうんと好きである。花弁が薄くて、鮮やかで、萎れゆくほどに魅力を放つエレガントな花が好きなんだよな。夏咲きのカンナ、ジャーマンアイリス、鳶尾、ストレリチア、、繊細さと強さを併せもつって...いいよな。)
体が恋をしようとしているというのに。
躑躅の莟のように、私はこの春に、猶予ふばかり...