女神s.s.スワロウ

数多の男の敗北を飲み干した。

オトコの癖に、あの花々の渦の重力を克服できず、

「何の為」かよくわからない機械的な本能のみが残っている。

そして女は恨み、憎むことしかできなくなったのだ。

「人の子として生まれたからには、

猿のように短絡的に、

虫けらのようにただ合理マシーンとして、

生きることになる可能性があるのです。」

君は何か嫌なことを思い出し、

くしゃみするように「キモ…」と呟いたよね。

無様で、惨めすぎる我等の過去に反して、

ここで解き放たれている膨大な光の束はなんなんだろうね。

「授かりものですよ、天地の間の。」

矛盾を解く力。

どんなに運命が堅固なもので、記号で規定された戦争経済システムに

縛られているようにみえても、我等は在れる存在。

そう、我等は在れるのだよ。重力を越えて。宇宙へと想いを、肉体を解放して。

君は男の屍の数々を墓場に埋葬し、

鏡の埃を拭き取るように、そのことに気づきかけている。

重力による初期化、平行化、退化していく現象達の隙間に、

約束を果たすためのコードが伸びている。

どこまでやれるかな?

いつまで続くのかな....

私の幽かな不安を無配慮に笑い飛ばす女神と、

神話的体験を忘れることができなかった私は、

密かに憐れみ合うことしかできない。

ありがとうは、ごめんの範囲で揺らぎ、

愛してるよは、もう死んでよと同じ響き方をしている。

ダルい