泉を前にして

泉が広がっていた。

突然の景色で、心の準備が....

突然の深みと放射。

深いのに、明るい。

だから、俺はたじろいだ。恥ずかしかった。

閉鎖した吸引には慣れていた(人って弱い生き物だから)。

だが、それは閉ざされておらず、ピュアだった。

縫い目ひとつない、掴むものもない空間の拡がりに、

己の姿や過去が映し出され、重力と鬩ぎ合っていた。

それは鏡だった。あなたが齎した。

正邪の審判も間に合わず、取り急ぎの苦笑いを浮かべる。

苦しかった。

「許しのなかで何をしていいのやら....」

ついに導かれた自由に、人はそうやって背を向けていくんだろうなあ....

ああ、知らないよ!

追いかけて辿り着き、曝して招かれたのだから、

ただ欲求の侭に、振り返らずに飛び込めばいいのだ。

が、無粋な勢いでは後悔するだろうね...

帰る場所、時系列が脱落したら、

官能も、その意義を薄れさせてしまうのだから。

一夜の衝突__

それは事故と見分けがつかないのだ....

だから、歩いて、歩いて....

歩いて....